短編小説 – 夏の1ページ

青空が広がる夏の午後、蝉の声が遠くから響いていた。
高校最後の夏休み、私は友人の直人と一緒に近所の川辺へと向かっていた。川沿いには緑が生い茂り、清涼感漂う風が私たちの頬を撫でていく。
「もうすぐ終わりだな、この夏も。」
直人がふとつぶやいた。
「そうだね。でも、まだまだ楽しめるよ。」
私は笑顔を見せながら答えた。
二人で川辺に腰を下ろし、水面に映る青空を眺める。川の流れは穏やかで、その音が心地よい静けさをもたらしていた。
直人は手元の小石を拾い上げ、それを指先で弾いて水面に投げた。小石は水面を滑るように跳ね、やがて消えた。
「来年はもうここにはいないんだよな。」
直人は遠くを見るような目をして言った。
「そうだね。でも、それぞれの場所で新しい景色を見つけるんだよ。」
私は少し寂しさを感じながらも、前向きな言葉を選んだ。卒業したらそれぞれが別の大学に通う事になっていた。
高校生活の中で、私たちは多くの時間を共有してきた。同じクラスで過ごし、部活で汗を流し、時には喧嘩もした。それでも、こうして最後の夏を一緒に過ごせることに感謝していた。
「なあ、俺達の未来ってどうなるんだろうな。」
直人がぽつりと聞いてきた。
「それはわからない。でも、きっと自分たち次第だよ。どんな未来でも、自分で選んで作っていくんだと思う。」
私は答えながら、川の流れを見つめた。
その瞬間、何かが心に刻まれるような感覚がした。
この夏、この場所、この時間――それは私たちの青春の一ページとして、永遠に記憶に残るだろう。
太陽が少しずつ傾き始め、空が淡いオレンジ色に染まっていく。私たちは立ち上がり、再び歩き出した。
この川辺で過ごした時間は短いけれど、その思い出は一生色褪せることはないだろう。
「またここに来ような。」
直人が振り返りながら言った。
「もちろん。その時はまた新しい話をしよう。」
私は微笑みながら答えた。
苦楽を共にした青春の日々は儚くも美しい。その一瞬一瞬が、私たちの心に深く刻まれていく。
それは決して愛情とは違うなにかが芽生えた瞬間でもあった。
あとがき
青春はいいものです。大切にしましょう。夏がやってきたので、書いてみました。
あ、それと小説家になろうに投稿してます。りのぺろでやってますので、暇な方はこっそり読んでみてねw 異世界物で先の内容とかプロット?だの、んなもん気にせずスルーして書いてみておりますw
完結するまで書ける気はしないけどもw
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