短編小説 – 消えた動画配信者

動画配信者になって稼ぐ! 小学生のみんながそろって夢だと言っていたちょっと前のあの頃。
そんな時に事件は起こってしまった。
※この物語はフィクションであり、実在する人物や団体とは一切関係ありません。
第一章:脅迫の始まり
人気動画配信者の佐藤玲奈は、登録者数300万人を超えるチャンネル「レイナの部屋」を運営していた。彼女の動画は、日常の出来事やゲーム実況、視聴者からの質問に答える内容が中心で、飾らないその人柄が多くのファンを惹きつけていた。
しかし、ある日、彼女の元に一通の不気味なメールが届いた。それは、「お前の住所を知っている」という一文から始まる新聞の文字の切り取りで作ったかのような脅迫文の画像だった。
メールには、彼女が住むマンションの外観写真が添付されており、背筋が凍るような恐怖が玲奈を襲った。
「な…なんでバレてるの? どうして私の住所が……?」
玲奈はすぐに警察に相談したが、具体的な被害が発生していないため積極的な捜査はできないと言われた。友人には「なにかされたとかはないんだから様子を見るしかないんじゃない?」としか言われなかった。
それならばと彼女は自分の身を守るために慎重になり、動画撮影の際には背景や音声にさらに注意を払うようになった。しかし、それでも不安は消えなかった。
第二章:特定されたプライバシー
日が経つにつれ、玲奈は自分のファンの中にストーカーがいる可能性を疑い始めた。SNSやコメント欄で頻繁に名前を見かけるアカウントを調べてみると、彼女の投稿内容を異常なほど細かく分析している人物がいることに気づいた。
その人物は、玲奈が過去に投稿した動画や写真から手がかりを探し出し、彼女の住所を特定した可能性が高かった。
例えば、窓から見える風景や近所の店の名前など、小さな情報をつなぎ合わせていたのだ。
「う、嘘でしょ…。こんなに簡単に特定されるなんて……」
玲奈は驚愕し、同時に自分の軽率さを後悔した。しかし、すでに遅かった。
脅迫メールは日に日にエスカレートし、ついには「お前を殺す」という直接的な表現が含まれるようになった。
第三章:影の正体
ある夜、玲奈は自宅で動画編集をしていると、窓の外から物音が聞こえた。不安になった彼女はカーテンをそっと開けて外を覗いた。
そこには、フードを深く被った男が立っており、じっと彼女の部屋を見つめていた。
慌てて警察に通報したものの、男はすぐにその場から立ち去り、捕まえることはできなかった。この出来事をきっかけに、玲奈は友人の勧めで一時的に別の場所に避難することを決意した。
避難先で過ごす間も、彼女は動画投稿を続けた。しかし、その内容は以前とは異なり、自分の身に起きている恐怖体験について語るものだった。
視聴者からは心配する声や励ましのコメントが寄せられたが、その中には「自業自得だ」と冷たい言葉を書く者もいた。
「当然だよね…。自分の不注意だったし…。でも、ずっとこの状況はまずいよね…。」
玲奈はいまさらながらに後悔をした。
第四章:最悪の結末
避難生活にも慣れ始めた頃、玲奈は再び脅迫メールを受け取った。その内容には、「どこに逃げても無駄だ」という言葉とともに、新しい避難先の住所が記されていた。
「どうして……」
玲奈は恐怖で震えながらも、友人に相談した。
「ど、どうしよう…。住所がまたバレてる…。」
玲奈の震えは止まらない。その事に電話先の友人は気付いたのか、
「…わかった。とりあえず、動かないほうがいい。鍵を閉めて待ってて。すぐに向かうから!」
「早く来てよ!」
玲奈は急いで電話を切った後、玄関や窓の鍵を閉め震えながら友人を待っていた。
そしてその夜、友人が急いで彼女の所へ向かうも、彼女はすでに家からいなくなっており、どこを探しても居らず、行方不明となった。そして翌朝、近くの公園で彼女の遺体が発見されるという悲劇的な結末を迎えた。
警察はすぐに捜査を開始し、彼女のファンだった30代の男性を逮捕した。
男が言うには、
「玲奈ちゃんが投稿した動画やSNSから情報を収集して、自作のプログラムでさらに詳細な個人情報を特定した」
と言っていた。さらに
「玄関のチャイムを鳴らして出てこなかったら合鍵で侵入しようと思ったが、出てきたから眠らせて公園で殺害した」
とのことだった。友人は助けられなかった事を悔やみ泣き崩れていたそうだ。
「わ、私が行くなんて言ったから…」
玲奈 享年21歳
それはあまりにも若すぎる犠牲者だった。
エピローグ
玲奈の死は、テレビでニュースとなり多くの人々に衝撃を与えた。同時に、インターネット上で個人情報を軽率に公開することの危険性についても議論が巻き起こった。
SNSや動画投稿プラットフォームでは、クリエイターたちが安全対策を強化する動きが広まり、プライバシー保護への意識が高まった。
しかし、一度失われた命は戻らない。玲奈という一人の才能あるクリエイターが犠牲となったことで、多くの人々がその教訓を胸に刻むこととなった。
※この物語はフィクションであり、実在する人物や団体とは一切関係ありません。
あとがき
現実でも起こり得る問題として、一人ひとりが動画配信だけに限らずインターネット上での行動に責任を持つ必要があります。自身もチャンネルをぶっちゃけ持っていますが背景等、そのままぼかしも入れてないので危険かもしれません。他にも運営しているブログや動画サイトも紐づけしていますが、紐づけをしすぎるのも注意したほうがいいかもしれません。それだけ紐づけしたものすべての投稿をチェックしないといけないですし危険が増えますから。動画投稿プラットフォームは子どもの憧れの職業の定番となりつつあるが、実はさまざまな事件の被害者となっている事も念頭に入れてほしい。昔やってたSNS(mixi、GREE、LinkedIn、mobage、Ameba等)にログインしてみてください。特定されるような画像がたくさんあるのではないでしょうか? やってる人も昔の投稿を見てみてください。
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