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長編小説 – デスゲーム

長編小説 – デスゲーム

薄暗い部屋に、目覚めたときの静寂が広がっていた。
天井から吊るされた裸電球の光が、冷たいコンクリートの床に不規則な影を落としている。
目をこすりながら周囲を見渡すと、そこには自分以外にも数人の男女がいた。皆、同じように困惑した表情を浮かべている。

「ここは……一体どこ…なんだ?」

誰かがそう呟いたが、答える者はいない。全員が自分の置かれた状況を把握しようと必死だった。記憶を辿ろうとしても、最後に何をしていたのかさえ曖昧だ。ある者は家でテレビを見ていたと言い、ある者は仕事帰りの電車に乗っていたと主張した。しかし、共通点は見つからない。

すると全員が目が覚めたのを確認していたのか、突然、部屋の中央に設置されたモニターが明るく光り始めた。全員の視線がその画面に集中する。そこには、不気味な笑みを浮かべたピエロの仮面を被った人物が映し出されていた。

「ようこそ、皆さん。ここは『デスゲーム』の舞台です。」

機械的で冷たい声が部屋中に響き渡る。
その言葉に、全員が凍りついた。「デスゲーム」という言葉が持つ重みは、誰の心にも恐怖として刻み込まれていたのだ。

「あなたたちは選ばれました。選ばれた理由は理解しているでしょう。このゲームをクリアすれば自由を手に入れることができます。ただし、それにはいくつかのルールがあります。」

ピエロの仮面の人物は淡々とルールを説明し始めた。

1. この部屋には複数の試練が用意されている。
2. 試練をクリアできなかった者は失格となり、命を失う。
3. 他者を妨害する行為は禁止されていない。

「さあ、最初の試練を始めましょう。」

モニターが消えると同時に、部屋の隅にあった鉄製の扉がギィィと音を立てて開いた。その向こうには暗い通路が続いている。誰もが恐怖で足を動かせずにいたが、一人の若い男性が意を決して先頭に立った。

「ここにいても仕方ない。行こう。」

その言葉に背中を押されるように、他の者たちも彼に続くことにした。通路を進むにつれ、緊張感はますます高まっていく。
やがて、一行は広いホールのような場所にたどり着いた。そこには巨大な時計が設置されており、カウントダウンが始まっていた。

**残り時間:30分**

ホールの中央には複雑なパズルのような装置が置かれている。その横には再びモニターが現れ、ピエロの仮面が映し出された。

「最初の試練は『協力』です。このパズルを制限時間内に完成させなければ、全員死亡となります。」

「協力だって?」

一人の中年男性が皮肉っぽく呟いた。

「こんな状況で信用できるわけがないだろう。」

しかし、時間は待ってくれない。若い男性が装置に近づき、パズルの仕組みを確認し始めた。それを見た他の者たちも次第に動き出す。誰もが生き残るために必死だった。

やがて、パズルの一部が完成し始める。しかし、その過程で意見の食い違いや焦りから怒声が飛び交う場面もあった。残り時間は10分を切っている。

「急げ!あと少しだ!」

若い男性の声に促されるように、全員が最後のピースをはめ込む。そして、カウントダウンが残り1分を切ったところで、ついにパズルは完成した。
その瞬間、モニターに再びピエロの仮面が現れた。

「おめでとうございます。最初の試練はクリアです。しかし、このゲームはまだ始まったばかりです。」

言葉とともにホール全体が震え始めた。そして、新たな扉がゆっくりと開いていく。その向こうにはさらに恐ろしい試練が待ち受けていることを、誰もが本能的に感じていた。

彼らは次のステージへと進むしかなかった。闇の施設に閉じ込められた10人の参加者。彼らが生き残るためには、謎めいたルールに従い、次々と課されるゲームをクリアしなければならない。
命がけのデスゲームは、序盤の混乱を経て、中盤へと突入していた。

……

「これで4人目だ……」
参加者の一人、斉藤がつぶやいた。彼の目の前には、冷たく床に横たわる仲間だったはずの遺体がいくつもある。
あれからいくつもゲームをした。喧嘩になることもあったり…。その結果、ゲーム開始からわずか数日で、すでに4人が命を落としていた。中盤に差し掛かった今、参加者たちの間には不穏な空気が漂っていた。

「ピエロ見てるんだろ!はやくここから出せよ!」

「朝野うるさい。」

朝野と平田が大きな声で言った。

「それよりも命を失うって抜け殻みたいになるんだな。痛みはなかったということか?」

「実際、血は一滴も出てないし、腐敗臭もしてない。実寸の人形って感じで気味が悪いよな」

平田の疑問に朝野は不思議に思いながらも目だけは周りを見渡していた。

序盤では協力し合う姿勢を見せていた彼らも、次第に互いを疑い始めていた。
ゲームマスターが仕掛けた「裏切り者がいる」という一言が、その原因だ。誰が裏切り者なのか、あるいは本当に裏切り者が存在するのか…。それさえも分からない状況で、全員が精神的に追い詰められていた。

「もう誰も信じられない……」

そうつぶやいたのは、若い女性の京香だった。彼女は腕を抱え込むようにして震えている。斉藤は彼女に近づこうとしたが、その瞬間、京香は後ずさりした。目には明らかな警戒心が宿っていた。
そうこうしているうちに、最終ゲームが始まることを告げるアナウンスが施設内に響き渡った。

「次のゲームは『選択』です。あなたたちは二手に分かれ、それぞれ異なる部屋へ進んでください。ただし、選んだ道によって生死が分かれるでしょう。」

参加者たちは顔を見合わせた。「選択」という言葉が持つ重みを全員が感じ取っていた。このゲームでは、誰かが生き残り、誰かが犠牲になる可能性が高い。だが、何もしなければ全員が命を落とすことになる。それだけは明白だった。

「どうする?」

リーダー格の男性、田中が声を上げた。彼は冷静な判断力でこれまでグループをまとめてきた人物だ。しかし、この状況下では彼の指示も疑問視されるようになっていた。

「俺は右の部屋に行く。別に分かれてもいいだろう?」

田中がそう宣言すると、朝野と平田が彼に続く意志を示した。一方で、斉藤と京香を含む1人は左の部屋を選ぶことにした。それぞれのグループに緊張感が漂う中、彼らは別れを告げて進んでいった。
斉藤たちが入った部屋には、一つのテーブルとその上に置かれた二つのボタンがあった。そして壁にはこう書かれていた。

「赤いボタンを押せば、自分以外のグループ全員が助かる。青いボタンを押せば、自分だけが助かる。」

全員がその言葉を読み終えた瞬間、沈黙が訪れた。誰も最初に動こうとしない。赤いボタンを押せば、自分は死ぬ。しかし青いボタンを押せば、自分以外の全員を犠牲にすることになる。

「どうするのよ……?」

京香が声を震わせながら聞いた。しかし答えは誰からも返ってこない。それどころか、一部の参加者は他人の動きを警戒し始めていた。

「誰も押さないなら、このまま全滅だぞ!」

斉藤は焦燥感から声を荒げた。しかし、その言葉も空しく響くだけだった。その時、一人の若い男性、吉田が静かに赤いボタンへ手を伸ばした。

「僕が押す……」

しかし、その瞬間、京香が叫んだ。

「待って! まだ何か方法があるかもしれない!」

吉田は手を止めたものの、その場には再び重苦しい沈黙が流れた。一方、別室では…
田中たちが選んだ右側の部屋では非情すぎる事態となっていた。そこに大きなスクリーンに映し出された左側の参加者たち。
そしてその部屋で苦悩する斉藤たちの姿があった。

「これは……」

田中はスクリーンに目を凝らした。そして次の瞬間、部屋にアナウンスが響く。

「あなたたちは左側の部屋の運命のボタンにより死ぬか生き残るか決定します。赤いボタン・青いボタンどちらも押したら死亡します。どちらも押さない、それはつまり生き残る。ということです」

田中たちは愕然とした表情で互いを見つめ合った。

「おいおい。こんなのどうすることもできないじゃないかよ…」
「嘘だろ…。右側の部屋のボタンに書いてある意味はまさか…押さないと全員死亡は…あくまでも左側の人間って事か!!!!」

田中は唖然としてしまった。その時…

「ガチャッ! ごくっ」

平田が扉に鍵をしめて棚に置いてあった鍵を飲み込んでしまった。

「へへへ。これでようやく楽になれる…」

「え? なんでそんな事を…」

田中は唖然とした。

「僕はここに来る前、ある場所で首吊りをして死のうとしてたんだ。でもここに来てある日、ピエロさんがここなら苦しまずに死ねるって言ってたんだ。だから…」

他の2人は部屋から出ようとかけだすも、鍵がかかって出られなくなっていた。

そんな時間制限が迫る中、左側の部屋では葛藤と決断が繰り広げられていた。

**赤いボタン**:「自分以外のグループ全員が助かる」
**青いボタン**:「自分だけが助かる」

状況を整理しよう。残り6人。右側の部屋には田中達3人。左側の部屋にも3人。当然全員が見知らぬ者同士であり、このデスゲームに巻き込まれた理由も分からない。
ただ一つ確かなのは、選択を迫られるということだ。

「あなたたちには選択権があります。」

モニター越しに響くピエロの声。

「制限時間は残り30分。それまでに決断を下さなければ、ここに居る者は全員死亡します。」

部屋は静まり返った。誰も言葉を発することなく、ただ互いに目を合わせるだけだ。最初に口を開いたのは、斎藤だった。

「こんな選択、冗談じゃない。誰が自分から死ぬなんて言うんだ?」

それに応じたのは京香だ。震える声で訴える。

「でも、誰もボタンを押さなければ、全員死ぬんですよね?それって……もっと最悪じゃないですか?」

「だからって、自分が赤いボタンを押して犠牲になるなんて無理だ!」

と斎藤は声を荒げる。

「家族がいる。子供たちが待っているのに……」

部屋には再び沈黙が訪れる。それぞれが自分自身と向き合い、考えを巡らせる時間だった。
制限時間が刻一刻と迫る中、一人の男が立ち上がった。

「やっぱり僕が赤いボタンを押します。」

全員が驚きに目を見開いた。最初に押すと言った吉田だ。

「待て!そんな簡単に決めるな!」

斎藤が叫ぶ。吉田は微笑みながら答えた。

「僕には守るべき人もいないし、特別な夢もない。でも、ここにいる誰かにはきっと大切な人や未来があるんだと思う。それなら、僕が犠牲になる方がいい。」

他の2人は言葉を失った。その場で何かを言うことすらできない。ただ、吉田の決意の強さだけが部屋に響いていた。

一方、田中たちの右側の部屋のメンバーはモニターをみながら叫んでいた。

「押すな!押すんじゃねえ!!!!」

そんな怒号がずっと続いていた。

そして残りわずか3分程度となった頃…
吉田は赤いボタンに手を伸ばした。その瞬間、京香が彼の腕を掴む。

「待って……押したらやっぱりだめだよ。」

「いや、僕がやるべきです。」

吉田は静かに答える。

「なんでそんな平然としていられるの?あなたはそれでいいかもしれないけど、私は…私は…」

京香の目には涙が浮かんでいた。その議論を遮るように、斎藤が叫んだ。

「誰か一人に押させるなんて馬鹿げてる!自分たちはもっと他の方法を考えるべきだ!」

しかし、制限時間は刻一刻と過ぎ、残り1分を切っていた。時間切れになれば全員が死ぬ。それだけは避けなければならない。

最終的に吉田は深く息を吸い込み、京香に向かって微笑んだ。そして静かに言った。

「ありがとう。でも、これは僕自身の決断です。」

そう言って赤いボタンを押した瞬間、部屋全体が眩しい光に包まれた。

光が収まると同時に、残された2人は別々の場所で目を覚ました。そしてそれぞれの手元には一枚の手紙が置かれていた。他の生き残りメンバーは誰も居なかった。

「あなたたちは解放されました。このゲームで犠牲となった者の尊い行動を忘れないでください。そして、これからの人生を大切に生きてください。」

京香は呟いた。

「やっぱり夢じゃなかったんだ…」

斎藤は何も言えなかった。

「…………」

その手紙には送り主も署名もなく、ただ無機質な文字だけが並んでいた。吉田が本当に命を落としたのか。
斎藤と京香には右側の部屋に入った田中達はどうなったのかのかも分からない。裏切り者も本当にいたのかさえも…

ただ一つ確かなことは、その場であの彼が示した勇気と覚悟だった。残された斎藤と京香は、それぞれの人生へと戻っていった。

そして、このデスゲームで得た教訓
――命とは何か、自分にとって本当に大切なものとは何か――
を胸に刻みながら、新たな日々を歩み始めたのである。

ピエロから一言
「毎日同じことの繰り返しで、目に光が宿っていないあなた。今から私が迎えに行きますよ? 楽しいデスゲームをしてみませんか? それとも…フフフフフ」

あとがき
よくある?ありそうな?お話です。
ちょっとしたホラー?なのかわかりませんが、お楽しみいただけたら幸いです。長編は流れを作るのにとても苦労する。端折れないから考えるのが大変。ちょっと無理くりな所や矛盾点があるかもしれませんが、ご了承ください。
そして、よくあるといえば異世界小説。あれはあれで書いたとて、これと同じように、どこにでもありそうな感じになる予感がしないでもない。