短編小説 – 不可解な田舎町

ある静かな田舎町、名前は「カモメ町」という。
そこには、年季の入った喫茶店「ミステリーカフェ」があった。
店主の新田一郎は、推理小説マニアで、店内にはぎっしりと古本が並んでいる。
だが、彼には誰にも言えない秘密があった。実は彼は、自分の住む町で起きた「事件」を勝手にサスペンス小説に仕立て上げてネットに投稿していたのだ。
そんなある日、カモメ町で本当に奇妙な事件が起きた。町のシンボルともいえる巨大なカモメの銅像が、一夜にして消えてしまったのだ!しかも、その代わりに置かれていたのは、なぜか巨大なタコのオブジェ。
町中が大騒ぎになり、地元警察も出動したが、手がかりはゼロ。一郎はこういう話を聞くと、内心ワクワクが止まらない。
防犯カメラすらない田舎町なので地元警察も苦労していた。
「これは絶対に面白いネタになるぞ!」
一郎は事件現場を見に行くふりをして、メモ帳を片手に目撃情報を集め始めた。だが、町民たちはどこか微妙に怪しい。
例えば、八百屋の松本さんは
「昨夜はずっと家でテレビを見ていた」
と言うものの、彼の家にはテレビがないことを一郎は知っていた。
また、パン屋の山田さんは
「夜中に大きな影を見た」
と証言したが、それが「カモメなのかタコなのか分からない」と曖昧すぎる。
さらに面白いことに、一郎自身も怪しい目で見られていた。
「お前、いつも事件が起きると嬉しそうだよな?」
と警察官に言われる始末。一郎は慌てて
「いやいや、小説の参考にしてるだけです!」
と弁解したが、その言い訳が逆に怪しさを増している。
その夜、一郎は喫茶店で事件について考えながらコーヒーを飲んでいた。すると、突然窓の外に不気味な影が! 慌てて外に出ると、そこには巨大なタコのオブジェを抱えた謎の人物が立っていた。
顔はマスクで隠されており、声も低い。
「この町には秘密がある」
とだけ言い残し、その人物は闇に消えた。
翌日、一郎はその出来事を町民たちに話したが、誰も信じてくれない。
「また新田さんの妄想か」
と笑われる始末。しかし、一郎は諦めなかった。
「この謎を解けば、最高のサスペンス小説が書ける!」
と意気込んだ彼は、自ら調査を続けた。
そして数日後、一郎は警察よりも早く、ついに真相に辿り着いた。
なんと、この事件の黒幕は町長だったのである!
実は町長、タコ好きが高じて「カモメ町」を「タコ町」に改名しようと企んでいたらしい。その第一歩としてカモメの銅像を撤去し、タコのオブジェを置いたのだとか。しかし、その計画はカモメとタコの移動中に町民に見つかりすぐにバレる。
その日、町民が集まり町長が町を変えたいと説得。「どうしても…というなら良い」と町民にはまさかの説得成功。タコ好きであることを隠すために町長自ら証拠隠滅を図っていたのだった。
一郎はこの事実をネット小説として発表したところ、
「なんだそれ!面白すぎる!」
「町民納得すんのかよ(笑)」
「町長そんなことすりゃ、バレるだろ!」
と大反響。しかし、その結果として町長は辞任し、一郎も
「お前が余計なことを書くからだ!」
と町民から軽く怒られる羽目に。それでも一郎は満足だった。
「これぞサスペンス!」
と笑いながら、新しい小説のネタ探しにまた出かけるのであった。
そして今日もカモメ町には平和(?)な日常が戻る…かと思いきや、今度は巨大なエビフライのオブジェが町の中心に置かれていたという噂が……!
一郎はすぐさま次の事件へと駆けていったのであった…。
「にしても、エビフライて…なんで(笑)」
あとがき
おもしろおかしなサスペンス。ほっこりするようなしないような。
町長と町民がグルというわけわからない感じに。
ラストの衝撃は吹き出さずにはいられない?
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